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誤りやすい法人税・消費税の個別事例の実務検討

届出書の提出誤りの例(税賠事例)

事例

  1. (1) 個人事業者(衣料品小売業)であるA社は、消費税について「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していたが、平成6年11月に個人事業を法人化し、個人の消費については「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」を提出し免税事業者となっていた。
    平成13年2月に税理士は関与を開始し、Aから個人で賃貸用建物の建築の相談を受け、消費税が還付されることを説明した。建物の完成が平成15年7月とされていたため、税理士は平成14年12月に「消費税課税事業者選択届出書」を提出したが、Aが免税事業者であることから、簡易課税制度を選択しているはずがないと思い込み、確認を怠り「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」の提出を失念した。
  2. (2) 税理士は、昭和60年からB法人の顧問をしていた。B法人は、消費税の導入時(平成元年4月)から、簡易課税制度の適用を受けたが、平成4年以降は基準期間の課税売上高が2億円を超えたため、以降は自動的に原則課税方式のより申告を行っていた。
    平成14年に、税理士は、B法人から多額の設備投資を行う旨の報告を受け、税理士は、消費税の還付が見込まれることを説明したが、同法人が長期間に渡り原則課税方式によっていたため、簡易課税制度を選択していないと誤解し、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」の提出を失念した。
  3. (3) D社は、3年前に設立された資本金1,000万円の法人であり、課税売上高は次のとおりであるが、新設法人に該当するため、課税事業者として諸費税の申告と納税を行った。
    設立第1期 … 800万円
    (設立時から期末までの月数の12ヶ月換算額)
    設立第2期 … 900万円
    第3期には、相当額の設備投資を行うため、消費税の還付を見込んでいたが、第1期及び第2期とも課税事業者であったため、第3期も課税事業者であると誤解し、「消費税課税事業者選択届出書」の提出を失念した。
  4. (4) E社は、小売業を営んでおり、従前から原則課税方式を適用してきた。平成14年3月期の課税売上高が、3,000万円以下となったため、2年以降の平成16年3月期は、自動的に免税事業者となった。
    この場合、免税事業者となる直前の課税期間(平成15年3月期)は期末の棚卸資産に係る消費税額の調整規定が適用されるため、その規定を勘案した上で課税方式の選択をすべきであったが、E社の関与税理士は、その試算を怠った。従前どおりの原則課税方式を継続して適用したが、結果的には簡易課税方式を適用したほうが有利であり、平成15年3月期の事業年度開始の日の前日までに簡易課税制度の選択届出書を提出すべきであった。
【ポイント】
(1)について

簡易課税制度の選択届出書の提出した後は、免税事業者になるか否かにかかわらず、選択不適用届出書を提出するまでは、簡易課税制度の効力が生じている。

(2)について

(1)と同様に、簡易課税制度の選択届出書を提出した後は、基準期間の課税売上高が簡易課税制度の適用基準額をこえたため、原則課税方式に移行したとしても、課税事業者選択届書を提出するまでは、簡易課税制度の効力が生じている。

(3)について

新設立法人の設立3期目が免税事業者となる場合には、特段の届書の提出を要しない。ただし、課税事業者となることを選択しようとする場合には、課税事業者選択届書を提出する必要がある。

  • (注) 設立3期目の基準期間(第1期)の課税売上高が1,000万円を超えることとなった場合には、「消費税課税事業者届出書」を提出することとなる。
(4)について

課税事業者が免税事業者となる場合、または、免税事業者が課税事業者となる場合には、それぞれ棚卸資産に係る消費税額の調整規定が適用される。

  1. 課税事業者 ⇒ 免税事業者の場合
    ― 免税事業者となる課税期間の初日(前期末)に有する棚卸資産に係る税額は、課税事業者である課税期間の課税仕入れの税額に含まれない(消法36⑤、消令54①、消基通12-6-1)。
  1. ②免税事業者 ⇒ 課税事業者の場合
    ― 課税事業者となる課税期間の初日の前日(前期末)に有する棚卸資産が、免税事業者である期間中に仕入れたものであるときは、課税事業者となる日の属する課税期間の課税仕入に係る税額とみなして仕入税額控除の対象になる(消法36①、消基通12-6-4)。

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