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誤りやすい法人税・消費税の個別事例の実務検討

作業職人に宿泊施設を貸与する場合の賃貸料

事例

建設業者A社は、自社ビルの2階の宿泊施設を作業職人に1泊1,300円(食事は別途1回につき500円で提供)で賃貸しています。
この宿泊施設においては、長期の居住者もいれば1〜2日で出ていくものもいます。
特に契約書があるわけではなく、口頭で1泊1,300円を伝え、自社の建設物件の作業員分は本人への給与から直接徴収し、他社の建設物件の作業員分は他社への支払代金から天引きして徴収します。
この宿泊施設の維持管理責任は建設業者Aにありますが、生活の本拠としている者といない者が混在している状態にあります。この賃貸料に対する消費税の課否はどうなるのでしょうか。

【解説】

消費税法上、非課税とされる住宅の貸付けから、住宅の貸付けに係る期間が1月に満たない場合及び旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合を除くこととされています(消令 16 の2)。

まず、旅館業に係る施設の貸付けに該当するかどうかについては、次の2つの要件を満たすものがこれに該当するとされています。

  • 施設の管理・運営形態を総合的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められること
  • 施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有しないことを原則として、営業しているものであること

事例の場合、事実認定の問題ではありますが、その宿泊施設の維持管理責任はA社にあり、かつ、日極めの契約からみて宿泊者は生活の本拠としないことを原則としていると解され、その宿泊施設は、旅館業に係る施設に該当するものと考えられます。

次に、貸付けに係る期間が1月以上であるかどうかは、契約書に1月以上の契約期間が記載されている場合や月極め家賃となっている場合など明らかに契約期間が1月以上であるものをいうと解されています。
事例の場合には、契約書の作成はなく、口頭で1泊1,300円と伝えるだけであるとすると、日単位の契約であり、結果として1月以上居住の用に供する者が存在するとしても、貸付けに係る期間が1月に満たないものに該当し、非課税とされる住宅の貸付けには該当しないと考えます。

以上のことから、その宿泊施設の貸付けは旅館業に係る施設の貸付けに該当して非課税にならないと考えられ、仮に、旅館業に係る施設の貸付けに該当しないとしても貸付けに係る期間が1月に満たない場合に該当しますから、いずれにしても賃貸料として徴収する代金は非課税にならない(課税)と考えます。
なお、1回500円の食事代金は宿泊施設の貸付けとは別に課税の対象となります。


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