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誤りやすい法人税・消費税の個別事例の実務検討

過去に作成し著作権を保有しているソフトウエアを
他のクライアントに譲渡する場合の原価の範囲

事例

 A社は、ソフトウエアの受託開発業務を行っており、クライアントと受託開 発契約を結び、ソフトウエアの製作をして、クライアントに納品します。
クライアントとの契約では、著作権はA社に残し、クライアントには所有権 や使用許諾権を与える(譲渡)ことにしています。

 著作権はA社に帰属することとなりますが、転売の予定も、A社での使用予定もないため、開発に掛かった人件費など一定のコストは資産計上することなく原価として損金に算入しています。

 しかし、このたび過去に作成し著作権を保有しているソフトウエアを、別の クライアントに譲渡することとなりました。もちろん、転売し利益を上げることは、当初のクライアントには承諾してもらっています。

 この場合の売上原価に関連する費用として次のものがありますが、そのうち、 過去(当初)の受託開発の原価については、次の1又は2のどちらが正しい処 理となりますか。

今回の売上高 1,500万円 当初受託開発時の原価 1,000万円
当初ソフトから今回ソフトへのカスタマイズ料 500万円(全く同じ仕様ではなく、一定のカスタマイズが必要となるための費用です。)

  1. (1) 当初の受託開発の原価を資産計上(借方:販売用ソフトウエア/貸方:雑益)と修正し、当期の所得に算入すべきですか。それとも、過去の所得として修正申告すべきですか。この場合には、いずれも、当初の受託開発の原価を今回の売上原価に算入する。
  2. (2) 当初の受託開発原価を当初の受託開発の原価として損金算入したことは正しく、これについて修正する必要はない。0円として問題はないでしょうか。 (注)カスタマイズ料 500 万円は、今回の受託開発の原価に算入します。
【解説】

 ご質問の場合には、当初作成に係るソフトウエアの権利関係が明らかではありませんが、A社において著作権を法的に留保しているとしても、当初作成に係るソフトウエアが当初のクライアントの業務システムに係るもので、A社において販売を目的としたものではないことを前提とすれば、当初作成に係るソフトウエアの受託開発に係る費用について、これをA社の固定資産に計上することは相当ではなく、その全額を当初のシステム開発に係る原価として損金算入すべきものであったと考えます。

 そうすると、今回の譲渡については、その譲渡に際して要した費用がカスタマイズ料であるとすると、その費用の額を譲渡原価として損金算入することになり、当初作成に係るソフトウエアの税務処理に影響をもたらすものではないと考えます。


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