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誤りやすい法人税・消費税の個別事例の実務検討

前期に取得したものと誤認して計上した器具備品に係る減価償却費、一括償却資産償却費、消耗品費と翌期認容の可否

事例

 X社は、50店舗分の設備を更新するため、同じ仕入先から同時に購入した什器備品3個(取得価額:備品A600,000 円、B150,000 円、C80,000円)について、実際の取得年月日は21年4月のところ、誤って21年3月にAは固定資産(耐用年数4年、定率法償却率0.625)、Bは一括償却資産費、Cは事務用消 耗品費として計上しました。

 そして、21年3月期及び22年3月期において、備品Aについて普通償却限度額まで、備品Bについて一括償却限度額まで、備品Cについてはそのまま損金に算入しました。

 X社は、このたび税務調査を受け、備品A、B及びC資産は一そろいのものであり、21年3月は不正による繰上計上であり重加算税対象と認定され、上記の損金算入額全てを否認する旨の指摘を受けました。

 しかし、備品A及びBについては、簿外資産となっていないため、22年3月期の普通償却費及び一括償却資産の償却費については損金算入が認められると考えますがいかがでしょうか。

 この場合、一そろいとした場合の取得価額は830,000円となり、その償却限度額は22年3月期の償却額よりも多くなりますが、その差額は22年3月期において認容されないのでしょうか。

 また、本件の処理が重加算税対象でない場合は違った結論になるのでしょうか。

【解説】
  1. (1)法人税法上、通常の減価償却資産につき当期に償却不足額がある場合に、 前期以前の各事業年度における償却超過額があるときは、その償却超過額は償却費としての損金経理額に含まれます(法 31(4))。したがって、その償却不足額は、その償却超過額の範囲内で当期で認容されることになります。
    この場合の「償却超過額」は、「各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として損金経理した金額のうち損金の額に算入されなかった金額」をいい(法31(1)、(4))、各期末に貸借対照表に計上されている減価償却資産に係るものに限られています(令58)。
    したがって、たとえ、前期以前の各事業年度において償却費として損金経理したとしても、「各事業年度において有しない減価償却資産」について償却費として損金経理した金額は、「償却超過額」に該当しないことになります。
  2. (2)ご質問の主旨は貸借対照表に計上されているかどうか、すなわち、いわゆる「簿外資産」であるかどうかを基準にされているようですが、法人税法上は、通常の減価償却資産については、「各事業年度において有しない減価償却資産」についての償却云々は論外であり、「法人が有する資産」であっても簿外となっている資産については認容しない、ということになっているといえます。ただし、法人が有する簿外資産の場合には、法基通7-5-1に該当するものについては、「償却費として損金経理したものとする」取扱いとなっています。
    なお、一括償却資産の場合には、「減価償却資産で取得価額が20万円未満であるものを事業の用に供した場合」とされていますから、「簿外資産」となっているかどうかは適用関係に影響しないといえます。
  3. (3)ご質問の事例をみると、21年3月期は、「資産を有していない」ことからするとまったく論外として、22年3月期については、(1)什器備品については「有する資産」で「オンバランス」となっており償却費を計上していますから、認容額が生じるものと考えます。
    また、(2)一括償却資産費及び事務用消耗品費については、21年3月期の一括償却資産費及び事務用消耗品費としたことに仮隠ぺいがないとすれば、これらの金額を什器備品の取得価額に含めたうえで償却限度額を算出し、認容すべきものと考えます。
  4. (4)重加算税対象は、21年3月期について「繰上取得」が「仮装」に該当するということであると思われます。しかし、22年3月期においては、22年3月期の経理処理に基づいてその当否を考えるべきであり、前述のとおり、21年3月期の一括償却資産費及び事務用消耗品費としたことに仮装隠ぺいがないとすれば、これらの金額を什器備品の取得価額に含めたうえで償却限度額を算出し、認容すべきものと考えます。

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